新聞雑誌など

2020年5月24日 (日)

喜びと楽しさ

喜怒哀楽のうち、怒りと哀(かな)しみは積もるものであり、喜びと楽しさは積もらない。(有富健〈ありどみつよし〉)
     ◇
「だからいつも喜びと楽しさを発生させる努力は必要である」と、血管奇形という難病を患う有富は言う。激痛、余病に苦しみつつも、難病指定と患者の相互支援のために活動してきた。苦悶(くもん)や焦りはつい表に出る。が、それだと周りは退く。作り笑いであっても、笑顔でいれば人は集まってくる。「形から入る」のがまずは大事と。『負けるものか!』(真里鈴構成・編集)から

鷲田清一による折々の言葉 朝日新聞 2020.05.13

 

 

| | コメント (0)

2020年5月20日 (水)

一期二会

一期二会(いちごふたえ)(大橋洋平)
    ◇
 緩和ケア医は、がんを患ってから、一期一会(いちごいちえ)ではなく「次また会える」という出会いを願うようになったという。それが一期二会。独語の「アウフ・ヴィーダーゼーエン」や中国語の「再見(ツァイチエン)」なども再会を期す別れの挨拶(あいさつ)。日本語の「さようなら」はその点、これが最後かもという哀感や、「会うは別れの始め」との諦念(ていねん)が漂い、やるせない。NHK「ラジオ深夜便」4月号から。

鷲田清一による折々の言葉 朝日新聞 2020.04.20

| | コメント (0)

2020年5月18日 (月)

死を上空から数える

2020年5月14日
発症者二桁に減り良いほうのニュースにカウントされる人たち
 (俵万智)
   ◇
生存ということがむきだしになる時、人にとって日々の糧は、あるか、ないかである。死も同じように、本人どころか家族にとっても、あるか、ないかである。誰かの死は一つの死として、別の誰かの死と比較も計量も交換もできない。が、人は知らぬまにそういう生の地表を立ち去り、死を上空から数える側に回っている。「280歌人新作作品集」(「短歌研究」5月号)から。

鷲田清一による折々の言葉 朝日新聞 2020.05.14

 

| | コメント (0)

2020年5月12日 (火)

創造的知性と想像力

目的に対する手段を提供することで役に立つのと、そもそもの目的、価値を創造するということで役に立つのと、二つあるわけです。
(吉見俊哉)
  ◇
役に立つか立たないかで学問の価値を測る風潮がある。やれデータだのエビデンスだのと。けれども、データサイエンスで予測できるのは、現在の延長線上にある未来でしかないと社会学者は言う。大事なのは「非連続的な社会の変化」に創造的に対応できる知性であり想像力だと。苅谷剛彦との対談『大学はもう死んでいる?』から。

鷲田清一による折々の言葉 朝日新聞 2020.04.19

| | コメント (0)

2020年5月11日 (月)

感染症

 感染症の世界的流行そのものは2002年のSARS、2009年の新型インフルエンザ、2012年のMERSと短い間隔をおいて定期的に起きています。ですからコロナウィルスのパンデミックも別に前代未聞の大事件であるわけではありません。たしかにウィルスそのものはそのつど「未知」ですけれど、「未知のウィルスにどう対処するか」という手順は「既知」です。やることは決まっています。感染症対策のセンターを設置して、そこに情報と権限を集中すること、医療資源を備蓄すること、十分な予算をつけて感染症の臨床と基礎研究の専門家を育てておくこと・・・それくらいでしょう。別に奇跡的な予見能力や超人的な医療技術を求めているわけではありません。ごく散文的でリアルな「準備」をしておくべきだということです。
 実際に、韓国や台湾やニュージーランドはかねて用意のマニュアル通りに行動して、感染を早期に抑制しました。しかし、アメリカやヨーロッパや日本はそれができなかった。マスクがない、防護服がない、人工呼吸器がない・・・というような物量的な原因でいくつかの国で医療崩壊ないしはそれに近い事態が発生しました。それはウィルスの力が強かったからではなく、危機対応能力が弱かったからです。  今回のウィルス禍は、それぞれの国の危機対応能力の優劣をあらわに可視化しました。コロナ後の世界では、その差が大きく拡大されて、国力の差としてはっきりと出てくることになると思います。
 布マスクも、首相が配布を発表してから1月経ってもまだ「準備中」です。発注先の社名を訊かれて、政府はしばらく答えられなかった。あれは隠蔽していたのではなく、ほんとうに知らなかったのだと思います。トップからの指示がどこまで届いていて、誰が所管していて、誰が責任を引き受けていて、誰が正確なデータを持っているのか・・・それさえもう官邸は把握できなくなっている。マスク二枚さえ配布できないような無能なコントロール・センターが検査件数を増やすというような難しいタスクをこなすことができるはずがありません。しかたなく、業を煮やした医師会や自治体が独自に検査拡大に取り組み出した・・・というのが実情だと思います。

内田樹の研究室、のブログ『コロナ禍についてのアンケート』2020-05-10全文はこちら

*****

安倍首相は、アベノミクスで華々しくデビューし、アベノマスクで消えて行く?

| | コメント (0)

2020年5月10日 (日)

無名の人々

無名の運命のなかで、自分の筋を貫き通して、歴史にものこらないで死んでいった者の生き方に、ぼくは加担したいんだよ。(岡本太郎)
 ◇
「尊敬する人」といえばなぜみなすぐに権勢を誇った人を挙げるのだろうと、芸術家は言う。成功者といっても、彼を取り巻く「いろいろな状況が押しあげた」だけ。歴史には、成功しないと知りつつ「命を賭けて筋を通した」無名の人々が埋もれているはずで、そこをしっかり見ようと。『太郎に訊(き)け! 岡本太郎流爆発人生相談』から。

鷲田清一による折々の言葉 朝日新聞 2020.04.09

 

| | コメント (0)

2020年5月 9日 (土)

お寺の標語

朝日新聞(天声人語)感謝で咲く花 2020年5月8日 から

広島市中区にある超覚(ちょうかく)寺住職の和田隆恩(りゅうおん)さん(53)には日課がある。標語を練り、カレンダーの裏紙に毛筆を走らせ、門前に掲げる。これまでは週1回だったが、コロナ禍でとがった空気を和らげたいと1日1枚に改めた。
<その標語>
〈子ども怒鳴るな来た道じゃ お年寄りいたわれ来る道じゃ 感染者責めるな同じ道じゃ〉
〈当たり前だったことが有難(ありがた)いことだったと気づかされる〉
〈したいことはあきらめずに。すべきことはあせらずに。できることはくらべずに〉
〈感謝の日差しで花が咲く。不満の嵐で花が散る〉

| | コメント (0)

2020年5月 8日 (金)

ジャレド・ダイアモンド

コロナ克服する国家の5条件 ジャレド・ダイアモンド氏
朝日新聞 2020年5月8日 長文ですがとても興味深い 一部抜粋

「単一の要因では説明ができない。少なくとも五つの理由があると考えています」
「第一に、海外からの渡航をどれぐらい制限できたか。第二に、感染者に対する隔離をどの程度行っているか。第三に、感染者の行動をたどり、感染者と接触した人々も強制的に隔離しているか。ベトナムで感染拡大が抑えられているのは、それを行っているからでしょう」
「そして第四に、人口密度が高いかどうか。米国でも、人口密度が高いニューヨーク市では深刻な状況になっていますが、密度が低いモンタナ州ではさほどの感染者は出ていません。第五に社会的な接触の頻度。韓国における最悪の感染拡大は、人々の来訪を許した教会から起こりました。イスラエルでは、『ウルトラオーソドックス』と呼ばれるユダヤ教の戒律を厳格に守っているコミュニティーで大規模な集団感染が起きています」

「現時点で日本の感染者・死者が少ないのは、早期に海外からの渡航制限をしたからでしょうが、感染拡大のペースが止まらないのは、政府の対策の弱さが原因です。多くの国々のロックダウンの基準は、日本よりもはるかに厳しい」

「第一は、国家が危機的な状況にあるという事実、それ自体を認めること。危機の認識がなければ、解決へと向かうことはできません。中国は新型コロナが蔓延(まんえん)し始めた当初、危機自体を認めなかったためにパンデミックを防げなかった。米国でもミシシッピ州やテキサス州、フロリダ州の知事、そしてトランプ大統領はパンデミックを否定し、それが裏目に出ました」
「第二は、自ら行動する責任を受け入れること。もし政府や人々が祈るだけで行動しなければ、問題は解決できません。中国は自らの責任を受け入れ、厳しい対策に踏み切るまでに1カ月を要しました。トランプ大統領は米国がなすべきことをする責任をいまだに認めず、中国批判に多くの時間を費やしています」
「第三は、他国の成功例を見習うこと。第四は他国からの援助を受けること。そして最も重要な第五のポイントは、このパンデミックを将来の危機に対処するためのモデルとすることです」

「このパンデミックは、私たちに『世界レベルのアイデンティティー』をもたらす可能性があります。私たちには『米国人』『日本人』といった国レベルのアイデンティティーはあっても、『この世界の一員』というアイデンティティーはありません。世界中の人々がその存在を認識し、かつ脅威となるような危機が、今まで存在しなかったからです」

「気候変動問題で人がすぐに死ぬことはありませんが、新型コロナは違う。誰にとっても明らかな脅威です。私たちがなすべきことは、新型コロナが全世界への脅威だと認識し、このパンデミックを通じて世界レベルのアイデンティティーを作り上げること。それができれば、この悲劇から望ましい結果を引き出せます。気候変動や資源の枯渇、格差、そして核兵器の問題の解決に向けて協力することも可能になるでしょう。それが先にお話しした『新型コロナ問題を将来の危機に対するモデルとする』ことの真意です」
「現実に起きているのは『対立と協調の混合』です。米国が中国への非難を強める一方、米国で使われているマスクの大半は中国から輸入されています。科学の世界では米中欧の研究者たちが共同論文を続々と発表しています。対立と同時に協力の兆しも至る所にあるのです」
「現時点では、世界レベルのアイデンティティーが実現するかどうかは分かりません。私は慎重な楽観主義者として『実現する確率は51%、実現しない確率は49%』と予測しています」
「やはり、政治的なリーダーシップです。例えば米国には様々なリーダーがいます。私が住むロサンゼルスのエリック・ガルセッティ市長は、勇気と有能さを備えたリーダーで、必要とあらば、人々の不評を買う政策でも実行をためらいません。カリフォルニア州の知事も素晴らしいですが、フロリダ州の知事はひどいし、ミシシッピ州の知事はさらに悪い。そして私たちの大統領は最悪です。団結こそが必要な時に、彼は世界中に不統一、不和をばらまいているのです」
「11月の大統領選は非常に重要です。すでに、共和党が優勢な州や自治体では、有権者登録に様々な制約を課して、反対派の人々の投票を妨げようとする動きがあります。トランプ氏は今後、そうした動きをさらに強めるでしょう。彼が再選されれば、米国における民主主義は終わるかもしれない、と危惧しています」

*****

流石ですね!

| | コメント (0)

2020年5月 6日 (水)

友人

学校というものの中では、教師に学ぶよりは、友人に学ぶことの方が多いはずで、その友人が同学年に限定されるなんてつまらない(森毅〈つよし〉)
 ◇
友だちといえば同級生、会社なら同期生。つまり同い年。そしてほとんどが同性。あとはみな上下関係。なんと窮屈で退屈な社会に生きているのだろうと、数学者は言う。うんと年の違う、できれば異性と、友人になれたら、世界は一挙に広がるのに、もったいないこと。これ、けっこう由々しき問題である。『ものぐさ数学のすすめ』から。

鷲田清一による折々の言葉 朝日新聞 2020.04.08

| | コメント (0)

2020年5月 5日 (火)

コロナ過後の東アジア・日中

 トランプのアメリカが日本を「搾れるだけ搾れる植民地」とみなしていることが日々明らかになる中で、中国が日本を「たいせつな友邦」として遇してくれたら、日本人はどう対応するでしょう?  
 僕は習近平は、ポストコロナ期の東アジアで、日本を取り込んで、アメリカから心理的に離反させ、あわせて韓国・台湾との「東アジア共同体」構想の真ん中に地政学的なくさびを打ち込む・・・という戦略で来るんじゃないかと思っています。つまり、日本を「経済的属国」にするというプランです。
 日本は東アジアの中で最も「属国慣れ」している国ですから、宗主国がアメリカから中国に代わっても、あまり体制に変化がない。
 そのためにまず中国は自民党の派閥を一つ札束を積み上げて「買い」に来る。自民党の中に「親中派」ケルンを形成する。そして、「中国が開発したワクチンを日本に優先的に配給するように話をつけたのはオレだ」という「手柄」をその自民党の派閥の長にプレゼントする。これは使いでのあるカードです。「救国の英雄」のタイトルを手に入れられるんですから。当然、次の自民党総裁選で有力候補になる。そうやって、「中国に借りがある」政治家を日本のトップに据える・・・ まあ、戦後アメリカが岸や賀屋に対してやったことと同じなんですけどね。そういうことが展開するのではないかと、僕は目を凝らして観察しているわけです。
 というわけで、コロナ禍の渦中における中国の動きはたいへんに興味深いものがあります。ここでどういう手を打つかで、ポストコロナ期の世界の地政学的布置が書き換えられるからです。その場合のキープレイヤーは中国です。刮目して観察する必要がある。

内田樹の研究室、のブログ 2020-04-17『2020年度寺子屋ゼミ受講要項』から。全文はこちら

| | コメント (0)

より以前の記事一覧