死を上空から数える
2020年5月14日
発症者二桁に減り良いほうのニュースにカウントされる人たち
(俵万智)
◇
生存ということがむきだしになる時、人にとって日々の糧は、あるか、ないかである。死も同じように、本人どころか家族にとっても、あるか、ないかである。誰かの死は一つの死として、別の誰かの死と比較も計量も交換もできない。が、人は知らぬまにそういう生の地表を立ち去り、死を上空から数える側に回っている。「280歌人新作作品集」(「短歌研究」5月号)から。
鷲田清一による折々の言葉 朝日新聞 2020.05.14
| 固定リンク
コメント