眼差しの先
愛するということは、おたがいに顔を見あうことではなくて、いっしょに同じ方向を見ることだ(サン=テグジュペリ)
飛行士でもあった作家は、通信員としてスペイン・マドリードの前線を訪れる。地下の掩蔽壕(えんぺいごう)で出撃を控えた二人の隊員の屈託のないやりとりに確かな「友愛」を感じ、こう思う。人はまた、大切な人が苦しんでいることにひとり苦しむ時にも、相手の眼差(まなざ)しのその先にあるものをともに見つめる。『人間の土地』(堀口大學訳)から。
朝日新聞、鷲田清一による「折々のことば」2019年11月16日
| 固定リンク
コメント