高級食パン
広島にも、全国展開の高級食パン店が幾つかあります。
2015年8月オープン、乃が美(こちら)。2016年11月、一本堂(こちら)、現在広島市内に3店舗。2017年3月、キューブ・ザ・ベーカリー(こちら)、このお店は全国チェーンではないようです、最近市内に二号店をオープン。2018年8月、食パン道(こちら)。2019年5月、季のわ(チョット遠いので未訪問、ここも全国チェーンではないようです)。2019年11月12日(もうすぐオープン)、考えた人すごいわ、ユニークな店名!
このブームに、金田一先生が噛み付いています。
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サライ2019年10月号、金田一秀穂による連載「巷(ちまた)の日本語」、第33回「高級食パン」。
「高級」という言霊(ことだま)の力に騙(だま)される
この頃、高級食パンというのが出回っていて評判らしい。たかが食パンである。こんなものに高級なものがあるのか。
食パンはかつて、一番つまらないパンではなかったか。近所のパン屋にパンを買いに行く。子供の私が欲しかったのはチョココロネやクリームパン、ジャムパンだった。食パンを買うというのでがっかりしたことがある。
そもそも食パンという名づけからして安っぽい。食用パンであるという。あるいは食事パンであるという。どう考えても、いい加減でありすぎる。菓子パンに対してできているだけで、ほかに名付けようがなかったから呼ばれている名前に過ぎない。つまらないパンと言っているとしか思えない。
食パンはバターかマーガリンを塗って食べるものだ。少なくともそのまま食べられるものではない。立ち位置は白米と同じもので、なければいけないけれど、それでいい食事ができるというものではなかった。
大切なのはそれについてくるおかずである。ポテトサラダやマーマレードが要る。高級なパン食というのなら、ピンクの高級ロースハムや揚げたてコロッケである。食パンを高級にするということはない。
パンを高級にするというのはわからないではない。たとえば「何たらカンパーニユ」だとか「フロマージュとベーコンのなんとかかんとか」という名前の付いた「ふんたらバゲット」とか「クロワッサンぽんたら」というのがある。ケーキのようなもので、高くて脂っこくて甘い。おしゃれな奥様が亭主のいない遅めのブランチとかでつまんで食べるのに使ったらいい。しかし、何度も言うが、食パンである。
近所のパン屋の4倍の値段も
食パンにおいしいのがあることは知っている。近所のごくあたり前のパン屋は10時に食パンを店頭に並べる。
その直後、まだ中身から湯気が立っているようなのを売ってもらって、スライスする前にそのままかぶりつく。これはおいしい。250円で買える。こんなおいしいものがあろうかというくらいのものである。
高級食パンは、その4倍ぐらいの値段が付く。しかも、木の箱に入っているのまであるらしい。ばかばかしさの極みではなかろうか。「高級」という言霊(ことだま)の力に騙(だま)されているとしか思えない。
食べたことのない人間が何を言っても無駄だ、一度食べてみろという声が聞こえてきそうだ。本当だ。食べたことがない。寄付は受け付ける。誰か奇特な人はいないだろうか。
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確かに焼き立ては美味しい、素人が焼いたものでもそうだ。プロのものは冷めてからも旨い。金田一先生も最後に書いているように、まず食べてみるべきだ。そして、その感想を聞きたい。
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以前何処かにも書いたが、私が広島で一番好きな食パンは、鷹野橋商店街の「ぶらじる」(こちら)のハードトースト。食パン専門店でもないし、パン専門店でもない。でも、旨い。まだ食べたことのないパン好きの方、お試しあれ。
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