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2019年10月24日 (木)

糸賀喜

■当て字で雰囲気を盛り上げ
人にごちそうになり、高級な日本料理の店に行きました。たまにしか体験しないこういうお店で、私が必ず注目するのはお品書きです。
〈先附(さきづけ) 山東菜(さんとうな)お浸し/糸賀喜〉
最初にこう書いてあります。サントウナ(サントウサイとも)は菜っ葉の一種。そのお浸しに「糸賀喜」が載せてあるというのです。実物を見ると、「糸賀喜」は糸状に削ったかつお節でした。普通には「糸がき」と書きますが、ここでは「賀」「喜」というめでたい当て字を使って縁起を担いでいます。
日本料理のお品書きは当て字をよく使います。私が知っているのは、たとえば「御造里(おつくり)」。刺身のことで、普通は「お造り」ですが、「里」の字を当てています。懐かしい古里のイメージでしょうか。あるいは、魚のカンパチ(間八)を「寒八」と書いたのを見たこともあります。夏の魚なのに「寒」は似合わないようですが、涼しさを感じさせようとしたのか、それとも「寒ブリ」に類推したのか。
料理は目で楽しむものでもあります。お品書きの文字も目に訴えて、雰囲気を盛り上げています。斜め読みはもったいないですね。

街のB級言葉図鑑 朝日新聞 be 2019年10月12日
飯間浩明(国語辞典編纂<へんさん>者)

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