「わたし」
あさってから手紙がくるよ/あしたのことが書いてある/あしたってつまりきのうのこと/あしたのわたしはごきげんですか(多田智満子)
「おととい」からも手紙はくる。だから「きのうのわたしはごきげんですか」とも。「わたしをあしたに渡しかね/すすむつもりであとすさり」。詩人は「わたし」を一つの〈物語〉に綴(と)じないで、あさっての「わたし」に、おとといの「わたし」に涼やかに言問う。それぞれの時を慈しみつつ。詩「夏の手紙」(『封を切ると』所収)から
朝日新聞、鷲田清一による「折々のことば」2019年10月4日
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