悲しみに埋まる
ひと言でいうと、癒(いや)されたくないんです。(柳美里)
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16歳の時、劇団・東京キッドブラザースの主宰者、東由多加(ひがしゆたか)(当時39歳)と出会い、暮らし始めた。その後別れるが交流は続き、末期癌(がん)の東を懸命に看病するも失う。そして19年、「わたしはまだ悲しい」と作家は言う。「悲しみは時が癒してくれる」という言葉は悲しみを蔑(ないがし)ろにしている。悲しみに埋(うず)まらないとその後もないと。
朝日新聞、鷲田清一による「折々のことば」 2019年8月10日
宗教学者・山折哲雄との対談録『沈黙の作法』から。
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