病める貝の吐き出した美しい異物
病める貝の吐き出した美しい異物、それが真珠です。(澁澤龍彦)
人生とは長患いみたいなもの。思うようにはゆかぬその思いを、人は内に痼(しこ)りのように溜(た)め込む。その痼りがもし、吐瀉(としゃ)物のように形の崩れたものではなく、瑕(きず)のない美しい球となって吐き出されたなら、それこそ患う人性への究極の慈悲といえるかもしれない。幼き頃よりの夢を叶(かな)えるべく、老いて天竺(てんじく)に向かう親王の幻想と怪奇の旅を描いた小説『高丘親王航海記』から。
*****
朝日新聞、鷲田清一による「折々のことば」 2019年1月13日
| 固定リンク
「日記」カテゴリの記事
- 夕食は内の奥さん特製粕汁(2020.05.26)
- 麻婆豆腐(2020.05.25)
- 今日のランチ(2020.05.25)
- マスク狂騒曲(2020.05.17)
- 不思議な動物 by 茂木大輔(2020.05.17)
コメント