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2019年1月28日 (月)

元号使っていますか?

様々なことに「平成最後の・・・」の枕詞が付くのににウンザリしています。何の意味があるのか。五月からは、「○○最初の・・・」が連発されるのでしょう。

 

2019年1月22日朝日新聞「耕論」、三人がその論を述べます。

 

一人目、内田樹(思想家)、うちだたつる、1950年生まれ。神戸女学院大学名誉教授(フランス現代思想)。2017年には「天皇主義者」宣言で話題に。

 

 元号とは「時間の区切り方」の一つです。いま日本では西暦と元号の両方が使われていますが、ふだん私が使うのは圧倒的に西暦です。
 先の戦争が終わって何年たったのか。昭和と平成に区切られた元号で考えていては、計算が困難です。ある事件が日本で起きたとき、世界で何が起きていたのかを知るにも元号は不向き。だから僕にとって西暦は大事な道具です。
 ただ、元号は不便だから西暦だけあればよいという意見にはくみしません。むしろ複数の時間軸を持っていることは、文化的に豊かなことなのではないかと考えます。
 世界では、様々な国々が様々な形で時間の区切りを活用しています。英国には王朝に即してエリザベス様式やビクトリア様式という時代区分があり、それぞれの時代に独特の文化や精神があると考えられています。米国では10年(decade(ディケイド))を基準に、50年代ファッションとか60年代ポップスと使っています。
 日本には元号があり、明治45年生まれだった僕の父は「私は明治人だ」と言い続けました。わずか半年あとに生まれれば大正生まれになっていたはずなのに、明治を自身のアイデンティティーの支えにした。人間は特定の時代に自分を帰属させることで安心感を得るのかもしれません。
 ある元号を口にすると、その時代イメージをありありと思い浮かべられる。そういう元号は明治以外にもあり、一種の文化資産と言えます。
 平成も明確な時代イメージを持つ元号として記憶されるでしょう。それは、落ち目の時代として、です。日本の国運が頂点から低落へと一変した時代が、平成でした。
 平成が始まった1989年には、日本は米国を超え世界一の経済大国になるという夢がありました。しかしそのわずか30年後のいま、主要先進国の座から滑り落ちようとしている。短期間に驚くほど大きく国力が下がったのです。
 世の中が変わったことを集団的に合意するための伝統的な装置。それが時間の区切りなのでしょう。日本にだけあるのではない、味のある文化的な仕掛けだと思います。
 人間には、世界共通の時間ではなく、民族や集団に固有の刻み目が入った時間の中で生きたい、という欲望があるのではないでしょうか。たとえば西暦も、キリスト教という一宗教の世界観が投影された時間の区切りです。
 元号と西暦の併用は確かに複雑で面倒です。しかし、世の中はとかく面倒なものです。それぞれの社会集団にそれぞれの時間の区切り方がある。だから、いくつもの異なる物語がある世界でそれらを何とか編み上げて、それなりに使い勝手のよい社会をつくっていく以外に方法がない。話はハナから複雑なのです。

 

二人目、坪井秀人(国際大学GLOCOM客員研究員)、つぼいひでと、1959年生まれ。文学と戦争や時代との関わりを研究。昨年「僕が元号を使わない理由」という文章を発表。以下、一部抜粋。

 

自分が使う時間を自ら決められないのは、時間に関する主権がないということです。それは、国民主権といいながら、天皇を押し戴(いただ)いた国のかたちと密接に結びついています。

 

30年前と違い、今回は天皇制をめぐる議論がほぼありません。天皇の言動が左翼からさえも支持され、大きなシステムへの批判が見事に封じられています。皇室からは今回、生前退位や大嘗祭(だいじょうさい)の費用など新しい問題提起がありました。しかし日本社会の側は、それにも反応できず、なし崩しで物事を進めています。天皇制や元号の問題なんてもうどうでもいい、とスルーされているのです。

 

三人目、楠正憲(国際日本文化研究センター教授)、くすのきまさのり、1977年生まれ。行政情報システムに詳しい。金融IT企業の技術責任者や、内閣情報通信政策監補佐官も。以下、一部抜粋。

 

今回、政府は免許証の有効期限で西暦表記も併記する決定をしました。しかし米国で働く私の友人は「生年月日を西暦にしてほしい」と言います。米国では日本の免許証がIDカードとして使える場面があるのですが、元号だといつ生まれたのかを米国人が理解できず、証明に使えないというのです。

 

元号はそもそも「突然変わるもの」として想定されてきているはずです。改元がいつごろ起きるかがスケジュール的に分かっている今回の方が、実は異例なのですから。

 

*****

 

昭和から平成に変わった時と比べると、確かに今回は異例ですね。4月の終わりから5月の初め、どんな事態になっているのか? そして、今後はどうなるのか? まあ、次の改元まで私は生きていませんが。

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