聖地巡礼 Rising ④/4
聖地巡礼シリーズの二冊目。
内田樹と釈徹宗の対話が中心の本。以下は内田の発言。
ヨーロッパにおいて自然は、攻撃的で威圧的なものとして観念されている。だから、人間は、それと対立し、攻略し、支配し、収奪しょうとする。ですから、その場合にはテクノロジー、科学技術が人間と自然の間のインターフェイスになる。人間と「人間を超えるもの」との間を架橋するものが「機械ベース」なんです。機械的なものを介在させることによって、自然の巨大な力を人間世界の中に取り込み、有用なものに変換させる。
でも、日本は違う。それはこの温帯モンスーンの列島の自然がヨーロッパのそれよりもはるかに人間に優しいからです。列島の自然は温和で、融和的で、共生可能なものとして人間を受け容れてくれる。自然と人間世界のインターフェースがとても柔らかいんです。だから、自然の大きな力を取り込むために使ったインターフェースは機械ではなくて、身体だった。自然と人間世界を架橋するものが「整えられた身体」だった。だから、自然から大きな力を取り入れて、それを人間にとって有用なものに変換することを目指した人たちは、機械をつくるよりもまず自分の身体を整えた。感受性を高め、運動精度を高めて、自然と人間世界の間を架橋できるだけの能力を開発しようとした。(p.233)
身体を整えるシステムとは、
平安末期の武芸、鎌倉期の仏教、室町時代の能楽、のようです。
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